きしゃぽっぽかく思う

ふと思ったことを書く雑記ブログ

メーカーですらさじを投げる故障家電を95%以上の成功率で再生させる家電のお医者さん

おとといの深夜、NHKのプロフェッショナル仕事の流儀を見ました。

私はこの番組はあまり見ないのですが、ごくたまに深夜にやってる再放送をぼーっと見ることがあります。

今回も深夜の再放送をぼーっと見ていたんですけど、これが最高に良い神回でした。

今回取り上げられていたプロフェッショナルは町の電器屋さんの店主で、今井和美さんという60歳の男性です。

私は「またずいぶんと地味な人にスポットを当てるな」と思いながらも、逆にこういう回は期待できるかもと、ぼーっと見ることにしたのです。

 

今井さんは電器屋さんですが、家電を売るわけではなく家電修理専門のいわば、家電のお医者さんです。

今井さんの店には、もう修理できないと断られた家電が全国各地から送られて来ます。

今井さんはそのようなメーカーですらさじを投げる家電を、95%以上という驚異的な成功率で再生させます。

とうに生産は終了し、部品は調達できず、設計図も説明書もない故障家電を次々と直していきます。

 

とにかくその修理技術は本当にすごいのですが、私が一番印象的だったのは、今井さんの笑顔です。

今井さんは修理しているとき、常にニコニコしているのです。

本当に心から修理するのが好きなんだなというのが伝わってきます。

また、修理を終えて完璧に直った思い入れのある家電を見て、心底喜んでくれる依頼者の姿に本当に幸せを感じているようでした。

 

今井さんは昔、若い頃、大阪の電器店に就職したらしいです。

しかし、そこではお客さんから修理の依頼がくると「見るだけ見に行って、直りませんと言ってこい」と社長に言われたそうです。

電器屋さんからすれば、新品を買ってもらう方が儲かるからです。

今井さんはお客さんに嘘をつくのが嫌でその店をやめ、実家で小さな電器屋を開くことにしました。

しかし、その小さな電器屋で今井さんは修理ばかりしているので、メーカーからの販売ノルマを達成できず、いつも販売数最下位の電器店として、メーカーの会議に呼び出されこっぴどく怒られていたらしいです。

それでも今井さんは修理をやめず、さまざまな家電をメーカーに頼らず修理する技術を身につけていきました。

そして月日は流れ、大型家電量販店や通販の影響で町の電器屋さんが次々と姿を消していくなか、今井さんの電器店はたくさんの故障家電が持ち込まれる唯一無二の存在になりました。

 

いやー、こういう人生もカッコいいですよね。

本当に地味だけど、確実に依頼人を幸せにする素晴らしい人だと思いました。

 

私のこんな記事では全然素晴らしさが伝わらないので、ぜひ再放送かなんかで見てみてください。